ビデオ制作の基礎・BGM篇

僕はビデオ制作を手がけ始めたのは1992年のこと。既に18年のキャリア(?)ってことになるけど、所詮は素人の腕と機材なんて、出来ることに限りはある。ただ、お化粧や着こなし次第で女の子が突然化ける(失礼)ことがあるように、勘所を押さえた制作をすると、見栄えがグンと変わってくることがある。言ってみれば、制作においてやってはいけない部分を極力減らしてゆけば、自ずと作品自体のクオリティが上がって見えるってことは言えると思う。

ではそのヒントの一つとして、実は前に、「ビデオ制作の基礎」っていうタイトルで概観を述べたことがありましたが、今回は作品に挿入するBGMについて書きます。僕が自分の作品にBGMを入れる時は、殆どがインスト(歌の入らない楽器だけの曲)になりました。昔はあれこれ試したけれど、ボーカルが入っちゃうと、日本語であれ外国語であれ、声や詞に引っ張られちゃう(観客が映像よりも歌に注目しちゃう)から。BGMは文字通りバックグラウンドにあるべきという考えに落ち着いたわけです。これって、結婚式関連(披露宴とか二次会で流すビデオ)では特に重要で、例えば絢香の曲を流したら、観客の多くは、ビデオに映ってる新郎新婦よりも、水嶋ヒロと彼女自身のことを思い出しちゃうだろうから、そういう気の散らせ方はしてはいけないんだと思ってる。

披露宴の自己紹介ビデオに限らず、
「歌詞の内容と画像がシンクロしてる俺ってカコイイぜ」
ってのは誰もが抱きがちな幻想だけど、現実には、スクリーンの主役たる人たちは、自分たちが思ってるほど地球の中心にはいなくて、観客の抱いているイメージに対して訴求しないことが多いんです。だって、観客は観客でその曲に自分自身の思いがあるわけですから。ビデオに限らず、自己顕示欲だけが突出して、周囲には全っ然響かない状態の、その底抜けのサムさというものはここで形容するまでもないでしょう。反対に、出席者の暗黙の了解というか公知の事実として、主人公のテーマソングとして定着している曲があるのならば、それを利用しない手はないと思うし、ストーリーの掉尾を飾る為の曲ってのはやっぱり重要で、これは力強いボーカルや、メッセージが伝わった方が良かったりするんで、それはまた別。

さて、インストってことは映画やドラマのサントラからの流用ってことになって、これはもう曲の”引き出し”を多く持つほかないんだけど、困ったら吉俣良や溝口肇のアルバムを頼ると良いと思う。特に前者は、ほぼ毎週「王様のブランチ」で何らかの形でBGMに使われてるくらい定番。あとはピチカート・ファイヴの「学校へ行こう!」のサントラも良いし、NHKの朝ドラや大河ドラマは制作費がかかっているだけあって(?)上質な音楽が揃ってる。

(例)
溝口肇 “yours” http://amzn.to/9VToNX
吉俣良 “Colorless” http://amzn.to/9NSieH
吉俣良 「こころ」 http://amzn.to/bZ0HbQ
ピチカート・ファイヴ「学校へ行こう!」 http://amzn.to/b4HD6q
佐橋俊彦「ちりとてちん」 http://amzn.to/armGlQ

で、前にも書いたことがありますが、ビデオ作品の長さの限界は15分だと僕は思ってます。その15分には、オープニングもありエンディングもあります。その中に入れるBGMの長さというのは自ずと限りがあって、厳選して且つ長さもかなりカットしなくてはならないことを肝に銘じておく必要があります。制作している人間にとって、映像や音楽にどんな大きな思い入れがあったとしても、上述の通り、観客の受け止め方は全く別物であって、時間の制約の中で見せたい事柄をちゃんと見せる、伝えることが大事なんだと思います。

BGMは飽くまでも添え物で味付け。ドバドバかければ料理が台無しになります。そのことを心得ているかどうかで、作品の仕上がりは大きく変わるんだと思います。

※註:著作権はクリアしている前提で書いています。念の為